【体験談】設計士から納棺師への転職

公務員から転職の画像

映画のおくりびとでも話題になった職業、納棺師。一般の方からするとなかなか馴染みのない職業ですが、今回紹介する転職体験談は30代で納棺師へと転職をされたUさんの転職体験談です。

Uさんの納棺師になる前の転職体験談は、以前にも紹介しているのですが、Uさんのプロフィールを簡単に紹介すると…

Uさんは以前は街の電気屋さんで仕事をしておられたのですが、30代目前に転職エージェントを利用して車の設計士へと転職をされました。その後車の設計士として日々忙しく働いていたのですが、リーマンショック後次第に仕事が減って行き転職を考え、納棺師と言う職業に転職されました。

納棺師と聞いて遺体を納棺すると言うことはわかるのですが、実際のところ納棺師とはどういった職業なのでしょうか。

では納棺師に転職をされたUさんの転職体験談を紹介します。

 

Uさんの以前の転職体験談、街の電気屋さんから車の設計士への転職体験談は↓こちらの記事で紹介しています。

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車の設計士から転職をしようと思ったきっかけ

転職のきっかけの画像

私は30代目前で転職エージェントを利用して電気屋の店員から車の設計士へと転職をして、日々忙しくも仕事に充実した毎日を過ごしていました。

転職をして2年ほど経った頃には車の部品の設計などを任され、自分一人で進めていくことができるようになり、ようやく仕事が面白くなりつつあり、更には多少の実力が付いたことで「できないかもしれないと思っていたけど、実はやれば結構できるじゃないか。」と全く未経験の設計士と言う職種だったにも関わらず、仕事がこなせて来ている自分に地震を持ち始めた時期でもありました。

仕事も順調で面白くなり始めたそんな時に、世界を揺るがすリーマンショックが起こりました。

アメリカから始まった世界不況の波に日本も飲み込まれ、私が働いていた自動車業界でも新車種の開発が中止になったり、販売計画の見直しなどが起こりました。もちろんそんな不況の煽りを受けて、車の設計会社はメーカーの新車種の開発が中止になったことで、仕事が激減しました。

その当時多くの社員は、会社に出社しても仕事がほとんど無い状態だったので、会社から有給の消化を勧められました。そして、社内では退職金が割り増しになる、早期の希望退職者の募集も始まりました。

それでも私は設計士の仕事が楽しくなんとか続けたいと思っていたので、早期退職は希望せず、そのうち仕事も戻って来るだろうと考えて無いなりにも日々の仕事をこなすようにしていました。

しかし半ば強引に会社の方から有給を消化するようにと勧められ、有給を使用することになったのです。

有給を消化して大した貯金などもなかったので、ただただ暇に毎日を過ごしていく中で、自分の実力を勘違いしていた私は「こんな所に燻っているのは時間の無駄だ!」と思い、退社することを決めたのでした。

以前にも転職を経験したことのある自分からすれば、もし仕事がなくなってしまったらどうしようということが不安で仕方なかったのです。

今にして思えば、最初に考えていたように車の開発が一時的に中止になったとしても、その後新たな開発が始まることは間違いないので、冷静になって耐えるのが良かったのだと思います。

でも、未経験から設計士としてそれなりに仕事をこなすことが出来た自分に変に自信がついてしまい、退職をしたとしてもすぐにもっと自分にあった仕事が見つかるだろうというのがあったのです。

もちろん今の歳になった自分の考えだと、こんな先のわからないことはしないと思うのですが(笑)このころは設計士という仕事が出来ている自分に酔っていたんだと思いますね。

ハローワークで転職活動をすることに

転職活動でわかったことの画像

次の仕事が決まる前に設計会社を退職し、サッと次の仕事に転職をした訳ではなく、恐らく次は自分の中でも最後の転職になるだろうから、ゆっくり探したいと思い、腰を入れてじっくりと次の仕事を探すことにしました。

退職してから、どうやって仕事を探そうかと考えている時に、まず最初に浮かんだ転職方法は前回お世話になった転職エージェントにまたお願いをすることを考えました。

しかし、自分の実力を過大評価していた当時の私は、自分で企業の良し悪しを判断できると信じ込み、転職エージェントに任せるよりも、自分で企業を探す方法の方が良いだろうと思い、全ての仕事情報が集まるハローワークで仕事を探すことを決断しました。

それに設計士の仕事は既に退職してしまっていたので、日中は仕事もなく時間もあったので転職エージェントに頼らずとも自分で転職活動ができるということも、ハローワークで転職活動をすると決めた要因の一つです。

ハローワークではインターネットを利用して、ハローワークの求人情報を検索し、気になった会社に片っ端から応募する方法で、転職活動を進めていきました。

しかし、当時はリーマンショックが終わったばかりで、求人の数が少ないのに、求職者は多いという、完全な買い手市場でした。

そのため、私がやりたい!と、思うような仕事には、応募しても大概は書類審査で落とされ、稀に面接まで進んだとしても採用されなかったのです。最初は「今は仕方ないな。」と思っていたのですが、面接にもなかなか進めないことが次第に不安になってきたのです。

そして、この時に気が付いたのです。自分で自分の実力を勘違いしていたのかもしれないということに。私が退社前に抱いていたよく分からない自信は、退社して1ヶ月程で完全に打ち砕かれました。

そして、応募をしては書類審査で落とされという日々が続き、暫くは自己嫌悪に陥る日々を過ごしました。

何で設計士を辞めてしまったんだろう…

何であんなに自信満々だったのだろう…

頭の中は先の見えない不安で一杯でした。

しかし、そんな日々も1週間も経つと、もう辞めてしまったのだから、どうにか頑張るしかない!と思考を切り替えることができ、そこからは、やりたい仕事を探すのではなく、やれる仕事を探すようになりました。

自分が勤めることができそうな、それでいて長い期間やっていけそうな会社を探しました。そして、しばらくの間ハローワークで仕事を探していたところ、偶然見つけたのが納棺師の仕事だったのです。

この仕事を最初に見つけた時に、これだ!と、思いました。

その理由は、葬儀関連の仕事はこれから少子高齢化の進む日本では先行きも有望です。そして、亡くなった方を綺麗にして納棺する納棺師の仕事は人の役に立つ良い仕事であると共にこれから先、長くに渡って働いていけるような気がしたのです。

未経験でも可能だと書かれていたため早速応募した所、あれよあれよと言う間に採用が決まり、私の納棺師としての仕事が始まりました。

今思い返してみると、この時に自信を打ち砕かれて良かったのかもしれません。

設計士をしていた頃は同じ会社に長くいたので、社会の中での自分の実力を過信して、勘違いした自信を持っていました。

この転職の経験によって、こうした自信を打ち壊すことができ、その経験のおかげで、人や仕事に対して謙虚になれると共に、会社に所属すること仕事ができることの有り難さを知ることができました。

納棺師の仕事内容や転職して変わったこと。

納棺師に転職してからの画像

納棺師に転職してからは、まずは亡くなった方のご遺体に慣れることから始まり、その後、遺体の処置や化粧などの仕方を上司から学びました。結婚式以上に礼儀や作法などが求められる仕事のため、手の動かし方一つにしても上司から厳しく教えられました。

ちなみに納棺師になるための資格などは無いため、納棺師というものはどういうものなのかというのは全て上司や会社の先輩から教えていただきました。今では納棺師になるための専門学校もあるようです。

納棺師の主な仕事内容は、亡くなった方を葬儀のために綺麗にして納棺する、というのが内容です。そしてこの仕事は自分が思っていた以上に、ご遺族の方たちに感謝されるので、やりがいのある仕事だと思います。

ただ、やはり亡くなられた方は病気で亡くなられた方のように綺麗な方ばかりではなく、交通事故や飛び降り自殺をされた方を担当する場合もあります。そんな方を綺麗にしている時はご遺族や亡くなられた方のことを考えると辛い気持ちで一杯になります。

また、亡くなった方を扱う仕事のため、給料は同世代の一般的なサラリーマンよりも高い水準です。但し、固定の休日というのは無く、休みは設計士時代と比べるととても少ないです。

そして、この仕事に転職したことで自分の中で一番大きかったのは、死というものを身近に感じるようになりました。この仕事を始める前までは、30代ということもあり死ということに現実味を感じていなかったのだと思います。

しかし、納棺師の仕事を始めてからは、誰しも必ず死ぬ時がやってくるので、その時まで頑張って生きなければならないんだな、と思うようになりました。

納棺師に転職をすることが決まった直後は、正直なところ遺体に触れることの怖さというのもありましたが、今ではそういう怖さというのは無く、少しでもご遺族の方の悲しみが癒えるようにご遺体を送り出したいという気持ちが強いですね。

私の場合はたまたまハローワークで納棺師の仕事を見つけたのですが、今ではこの納棺師の仕事がライフワークになるのでは?と思っているぐらい学ぶことが多い仕事だなと思っています。

電気屋で働いていた頃の自分が、まさか自分が納棺師になるなんて考えもしなかったことですが、納棺師に転職することが出来て良かったです。仕事というのは確かに給料や条件なども大事だと思うのですが、納棺師の仕事を始めてからは人から感謝されるというのも仕事には欠かせない条件だなと感じることが多くなりましたね。

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