転職は住宅ローンに影響する?

転職が住宅ローンにも影響する?

30代で転職を考えた時に気になることの一つ、「転職をすると住宅ローンに影響はないのか?」ということです。すでに住宅ローンを組んで家やマンションを購入しているのであればさほど気にはならないかもしれないのですが、これから住宅ローンを組んで家やマンションの購入を考えているとなると、転職をした場合に勤続年数などで審査に落ちてしまうのでは?と気になってしまいますよね。

転職となるとやはり次の仕事のことを一番に考えるというのは当然なのですが、転職をした後に住宅ローンを組んで家やマンションの購入を考えているという場合は、転職後の計画も大事なことの一つです。

ウチの会社でも30代になって転職をしてきた人が何人もいるのですが、転職後に家やマンションを購入した人も数名います。

仕事をしていなければ住宅ローンどころか、普通の商品を購入するローンを組むのも難しいというのは分かっているという人は多いと思うのですが、転職が住宅ローンに影響するのか?って分からない部分が多いですよね。

そこで今回は金融機関で仕事をしている知人に、転職と住宅ローンは関係があるのか?ということについて話を聞いてみたので、実際のところ転職と住宅ローンは関係があるのか?ということについて書いてみたいと思います。

まぁ自分の場合は住宅ローンを組んで家を買うなんて、まだ先の話なんですが(笑)

転職すると住宅ローンの審査に通りにくくなるのか?

転職をすると住宅ローンの審査に通りにくくなるというような噂は聞いたことがある人も多いのではと思うのですが、実際はというと転職前の状況と転職後の状況変化により、プラス要因にもマイナス要因にもなります。

そのため、一概に転職が住宅ローンの審査にマイナスに影響するという訳ではないのです。

住宅ローンの借入の審査基準は色々な項目から構成されており、それぞれの項目をクリアして借入できるかどうかは総合的に判断されます。

金融機関の審査項目、審査基準は基本的なものは共通していますが、金融機関の独自なものもあります。大手銀行では住宅ローンの審査には通らなかったけれど、地方銀行で住宅ローンの審査に通ったという話もよく聞きますよね。

転職そのもの自体は住宅ローンの審査に影響を受けますが、すべてマイナス要因と判断されるわけではなく、内容、状況によってはプラス要因として判断されるケースも多々あります。

そもそも住宅ローンはどんな基準で判断されるの?

住宅ローンの判断基準は大きく分けて2つあります。

一つ目は住宅ローンを借入する自宅の担保価値です。担保価値とは市場で売買されている金額です。住宅ローンを貸し出しする金融機関は、契約者がもし返済できなくなった時のために自宅に抵当権という担保を設定します。

抵当権とは住宅ローンの契約者が返済できなくなった時に、契約者の自宅を強制的に売却してその代金を回収して住宅ローンの残債金の返済にすることができる権利のことです。

以前は担保価値の80%までしか貸し出ししないなどの担保価値重視の時代もありましたが現状ウエイトは低くなりました。他の条件が揃えば、担保価値の200%でも貸し出しをOKしてくれるケースもあります。

最近では、むしろこれからお話します二つの目の要素を重視するようになりました。

二つ目の要素というのが、契約者自身のお金にまつわる状況を審査します。具体的には年収、勤務先の状況、過去、現在の借入(他のローン、クレジットカード等)状況、年齢等の状況を審査します。

金融機関の基本の姿勢は契約者が、場合によっては30年、35年と長期に渡り、継続的に返済を続けられる状況がどうかを審査し、総合的に見て貸し出しするかどうかを判断します。

金融機関は貸し出しした住宅ローンの金額に対する利息金額で収益をあげています。住宅ローンの毎月の返済金額の内訳は元本金額と利息金額になります。上記の金額を継続的に返済できない状況の人には金融機関は貸し出しをしません。

では具体的な審査の項目についてより詳しくお話しながら転職の影響を掘り下げてお話します。

【年収】

返済金額の基になる部分であり、通常金融機関は契約者の年収金額を基にして貸し出し金額を決定します。

年収 × 基準値 = 年間返済金額

基準値は金融機関の審査基準により差があります。一般的な基準値は20%~30%とされていることが多く、フラット35の場合は以下のように設定されています。

年収400万円未満 30%以下

年収400万円以上 35%以下

フラット35とは住宅支援機構が民間の金融機関と提携している住宅ローンのことです。年収の20%を年間返済金額の基準値にしますと

年収600万円の場合

年間返済金額は120万円、毎月の返済金額にすると10万円

上記の年間返済金額120万円であればどれくらい借入ができるのか?年間返済金額を基にして、借入期間、金利によって借入金額が決定されます。

上記の一覧表は年間返済金額を基にした、金利、借入期間別の借入可能金額を表した一覧表です。

基準値が高いほど、金利が低いほど、期間が長いほど、借入金額はより多く借入できます。

上記のように基準値20%、借入期間35年、金利0.5%であれば借入金額は3.852万円になります。

年収600万円の場合でも基準値が25%にアップすると、年間返済金額が150万円にアップします。すると借入期間35年、金利0.5%と同条件でも借入金額は4,815万円と大幅にアップします。

上記の基準値は転職により影響を受けます。転職がプラスと判断すれば基準値はアップしますがマイナスと判断すれば基準値はダウンします。また、基本的な部分になりますが、転職による年収のプラス、マイナスは借入可能金額に影響します。転職後に住宅ローンの借り入れを考えている場合は、転職後の年収により年間返済金額が決定されるためです。

【勤続年数】

住宅ローンは返済期間が30年、35年と長期間にわたるため、返済できる収入が継続的にあるかどうかを勤務先、勤続年数等で審査します。民間の金融機関では、勤務年数が1年以上、3年以上と条件を明記している場合もあります。

転職した直後又は勤務年数が短い場合、有利な住宅ローンは?

フラット35には勤務年数の要件がありません。ネット銀行で「転職直後でも申込可能」、「申込日時点で転職後3カ月」と明記している金融機関もあります。

勤務年数そのものよりも、長期的に返済能力があるかどうかの内容を重視する時代になりつつあります。

【勤務先】

契約者の勤務先の財務内容も審査します。契約者の年収の出所ですので当然のことです。公務員、上場企業の信用力は高いです。当然のことですが、倒産するリスクが低いからです。

長年、継続的に安定した年収をもらえる公務員、優良企業の社員は金融機関にとって最高のお客様です。

転職においても、より信用力の高い企業への転職であれば、プラス要因と判断されます。

金融機関によっては、転職したばかりの状況であれば、転職先企業の雇用契約書、採用通知書、年収見込証明書等を提出することで、プラス要因を審査してくれるところもあります。

【住宅ローン以外の借入金額】

住宅ローンの借入金額は年収を基に年間返済金額を算出し、それを基にして借入金額が決定されます。

しかし、他の借入金額(教育ローン、自動車ローン、カードローン、クレジットカードの分割払い等)の毎月の返済金額分は上記の年間返済金額から差し引かれます。その金額分は借入金額から減額されます。

年間返済金額を120万円と判定されても、他の借入金額に対する年間の返済金額が20万円あれば、年間の返済金額は100万円に減額されます。

上記の判定方法は金融機関により千差万別ですので、あくまでも理解を深めていただく為の一例です。

ただ、他のローンの借入金額が多いと、住宅ローンの借入金額が減額されるのは事実です。

【過去の借入履歴、返済履歴】

金融機関は個人情報機関に、住宅ローン契約者の借入履歴、返済履歴を照会して、左記の件を確認します。過去にどんなローンを借入しているのか約束どおりの返済をしているかどうか上記内容をチェックします。

住宅ローンは多額のお金を貸し出しするので個人の信用力を確認します。延滞履歴ゼロ、無計画な借入ゼロが高い信用力になります。延滞履歴が一つでもあると、貸し出ししない金融機関もあります。

上記が住宅ローン借入時の審査項目の主な内容です。少し長くなりましたが、勤続年数ということも住宅ローンを利用する時には欠かせない要因の一つなのですが、金融機関によって傾向に違いがあり、例えば勤続年数が短かったとしても信用度の高い企業への転職や、給与面がアップする転職などであれば、転職は住宅ローン借り入れのプラス要因にもなるのです。

転職すると住宅ローンの借り換えは難しくなる?

住宅ローンの借り換えとは、今借入している金融機関の残債金額をいったん返済するために、残債金額を新たに別の金融機関から借り入れることです。

住宅ローンの借り換えを行うのは、金利の低下をメリットとして総返済金額(元本金額と利息金額の合計金額)が減額できるときに利用する方法です。

今借入している金融機関と契約した時の状況(年収、自宅の担保価値、住宅ローン以外の借入金額等)が転職した事により変化があれば、マイナス要因にもプラス要因にもなります。

借り換えは基本的には新たな金融機関との契約になりますので審査は新たな金融機関の審査基準になり一からの総合審査になります。

極端な話、転職により年収が下がれば、今の金融機関に借入している残債金額の100%をそのまま借り換え出来ない可能性があります。場合によっては、70%、80%に減額されることがあります。

その場合減額分は頭金として別途必要になります。頭金を用意できなければ、借り換えができなくなります。

転職により年収がアップしても、自宅の担保価値がダウンしていれば、年収基準がクリアしていても、担保価値不足で審査が通らないケースもあります。

また転職により年収がアップしても、他の借入金額(教育ローン、自動車ローン、カードローン等)が前回より大きくアップしていれば、返済不能と判断され審査が通らないケースもあります。

結論をお話しますと、借り換えは白紙の状態になり、新規借入と同じ審査基準で総合的に判断されます。

転職によるマイナス要因が存在しても、他の項目に問題がなく、総合的に判断して審査が通るケースもあります。

一方、転職によるプラス要因が存在しても、他の項目に問題があれば、総合的に判断して審査が通らないケースもあります。

転職をすると住宅ローンの借り換えが難しくなるかというと、住宅ローンの借入時と同じで、転職がプラス要因にもなればマイナス要因にもなるのです。借り換えの時にはさらに、借り換えのタイミングでどれぐらいの担保価値があるのか?ということにも左右されるのです。

転職したことを住宅ローンの借入をしている金融機関に伝えた方がいいの?

人生において転職をすることは珍しいことではなく、むしろ誰でも経験するような状況になっているのですが、未だに転職がネガティブなことだと考える人もいるのも事実です。

たまに相談を受けるのが、「転職をしたことを金融機関に伝えた方がいいのか?」ということです。

これまでに私が実際に知人から相談を受けたケースとしては、知人が転職をして年収が下がったのですが、その知人が心配していたのが「転職をして年収が下がったことで住宅ローンの返済金額が上がるのではないか?」という心配だったのです。

結論からお話しますと、転職したことを金融機関に伝えた方が良いのかというと、ケースバイケースです。

住宅ローンの契約も締結し、第一回目の返済も済ませているのであれば、また転職以降も毎月の返済金額に問題がなければ、住宅ローン会社に特に伝える必要はありません。

しかし、まだ契約締結に至っていない状況、まだ審査中の状況であれば、条件変更になりますので、すぐに報告する義務があります。

また転職により大幅に年収がダウンした場合、先々返済が苦しくなる可能性があるならば早めに報告というより相談した方が得策です。状況しだいでは条件変更に応じてくれます。

住宅ローンの条件変更の主な内容

例えば転職によって年収が下がった場合に、どういった条件変更があるのかというのをフラット35の場合で見てみると…

【住宅ローンの期間延長】

具体的には残期間20年を35年に期間延長をして毎月の返済金額を大幅に減額する方法です。フラット35の規定では最大15年延長可能です。

【元本据え置きの利息金額のみの支払い】

住宅ローンの毎月の返済金額の内訳は元本金額と利息金額になります。上記措置は毎月の返済金額を利息金額のみの支払いにすることです。フラット35の規定では最大3年間の措置が可能です。

【ある一定期間のみ毎月の返済金額を減額する】

子供の大学在学中の4年間等の一定期間、<s\span class=”b”>毎月の返済金額10万円から7万円に減額する制度です。

この3つの条件変更はフラット35の条件変更の制度として明記されています。

民間の金融機関の対応は千差万別ですが、上記の条件変更の制度を参考にして相談してみましょう。

転職することで住宅ローンの控除とかはないの?

住宅ローンの年末残高取得控除の制度の件をお話します。

年末の住宅ローン残高の1%分を所得税から控除する制度です。期間は10年間です。年末残高の上限は4000万円です。年末残高が5000万円あっても4000万円分しか控除されません。

1%相当金額ですから1年間の最大金額は40万円です。10年間ですので最大金額は400万円です。上記内容が住宅ローン取得控除の基本の制度です。

転職により、上記制度が適用外になることはありません。

しかし、転職により年収が上下します。年収が上下すると、支払った所得税は上下します。住宅ローンの取得控除金額は支払った所得税の範囲内でしか控除されません。

転職により年収が上下するというのはよくある事です。よって控除額も必然的に上下しますので転職により控除額は影響を受けます。

ただし、あくまで支払った所得税の範囲のみの金額しか控除されません。

支払った所得税が30万円であれば、住宅ローンの年末残高が4000万円あっても30万円のみしか所得税が控除されません。ただし所得税から控除しきれない金額は翌年の住民税からも一定額まで控除されます。

上記のように、転職により年収が上下すれば、当然控除金額は影響を受けます。

転職により年収がアップすれば、所得税、住民税がアップしますので控除金額がアップする可能性は高くなります。

一方で転職により年収がダウンすれば、所得税、住宅税がダウンしますので控除額がダウンする可能性は高くなるという事です。

転職と住宅ローンまとめ

かつては、勤続年数1年以上、3年以上という明確な規定が存在する金融機関が数多く存在しており、転職したばかりの短い期間に住宅ローンを借入するには不利な時代もありました。

しかしながら、ネット銀行の登場もあり、顧客の立場に立った商品開発を進めており、柔軟な対応を取るようになりました。

基本は長期間の返済能力があるかどうかの判断基準に重きを置いた審査方針に転換しています。したがして転職に関しては、転職したことによる中身の状況変化を審査するようになりましたので、転職そのもの自体で判断しない時代になりました。

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